水面を連れる
Extract the Water Surface

2019
Installation
「流れる瞬間、うつろう場所 Place out of Time」
瀬戸内国際芸術祭2019 秋期
香川県 屋島 四国村 旧鍋島灯台退息所

 ガラスに入った液体をカメラがリアルタイムで映し出し、様々な現象が重なって、実際のガラス瓶の中には存在していない現象がモニター越しに見るガラス瓶の中には映し出される。周囲にはプリズムや扇風機、回転盤を使用した仕掛けが施されており、不可逆な視覚的現象が絡み合うことで複雑な水面の質感を建物の外から中へ招き入れる作品である。また、ここで使用している液体はシカゴで入手した水や油であり、瀬戸内の海にシカゴの湖を浮かべるイメージで制作を行った。

 

(展示テキストより)
 水辺に行くと、波の動きや光の反射、揺られる水草や砂、そこに浮かぶ人工物、そしてそれらを映 す水面がいつも気にかかる。このプロジェクトの中でも、シカゴでは海のように広大なミシガン湖 に浮かぶ沢山の船や水面の光のうねり、瀬戸内では繊細な潮の流れをつい目で追っていた。そのこ とから、複雑に変化し続ける水面の質感を、同じように時間の変化によって場所や目的が移り変わっ ていくこの退息所の中に招き入れてみたいと考えた。リアルタイムで動く液体を映し出すことや、 光の反射、そして異なる時代に作られた器具などを組み合わせることから、内や外から影響を受け ながらひとつの面に凝縮されていく水面の質感をつくり、空間の中に浮かべてみたいと思う。