「映り」としての圧縮
Reflection as Compression

2020
Live-Installation
群馬県桐生市 山治織物工場
東京藝大アートフェス 2021 優秀賞
東京藝大「ILOVEYOU」プロジェクト


「映り」としての圧縮
現在の世界状況の中で、最近作品制作を通してデジタル技術の扱いについて改めて向かい合う機会が増えてきた。その中でも、今私が気になっているのは、空間的な作品として考えられることが多いインスタレーション作品を直接現場で知覚するのではなく、中継してどこかへ映像として映し出すとき、その空間が画面の中へぎゅっと圧縮されるような感覚である。今回はその圧縮される感覚 を軸に、様々な視覚的現象が関わり合うように空間を設え、その状況をライブ映像として映し出してみたいと思う。複数の視覚的現象が関わり合いながらひとつの画面に集約されることは、現象の関わり合いによって生まれるひとつの描画、あるいはインスタレーションが身近な空間性を失う代わりに時空を越え、それが映し出される新たな「場」になり得るのではないだろうか。

不安定性から得られる身体性
昨今のVR技術が示しているように、人間は目で見るだけであっても視覚を超えた体感をもつことができると思う。私はこのことにとても興味があり、特に光の動きや液体の移動などの物理現象を扱い、組み合わせることで揺らぎのある不安定な視覚的現象を得るとき、それがデジタル画面越しであっても、その感覚が生まれるのではないか、もしくはデジタルを介することで存在できる身体 性があり得るのではないかという試みのために、今回のオンラインでの公開制作の企画を考えた。インスタレーション空間をデジタルのシステムを介して見るとき、私たちはひとつの視覚的現象と して集約されたイメージを体感するのだろうか、それとも、また別の何か空間的なものを見ることになるのだろうか。